神奈川新聞 平成18年1月30日 掲載 歯科コラム
歯周病の細菌が、心臓病や肺炎などの一因となっていることが分かってきました。また、自分自身の歯でも入れ歯でも、食事をしっかりかんで食べられる人の方が「健康で生きられる期間」が長くなります。口は、人間が生きる源のひとつです。全身の健康に大きくかかわっている口に、もう少し注目したいものです。
がんは体のどこにでもできる病気で、もちろん口の中(口腔)にも発生します。口腔がんは進行してしまうと、食べる、話す、笑う、味わうなど、口の機能に大きく障害を与える上、生命をも脅かす病気です。頻度は、がん全体の約2%と決して高くはありません。
舌、歯肉に最も多く発生し、男性が女性の約二倍、年齢的には四十代から七十代に多く見られます。口腔がんの特徴として、胃、食道、咽頭などにも重複してできることが少なくありません。
原因としてはタバコ、飲酒、口の中の不衛生、虫歯のとがった部分による刺激などが考えられています。
初期では、痛みや出血といった症状もありません。口内炎と思いこみ、放置することで進行してしまうことが多いようです。
早期発見、早期治療をおこなえば、ほとんど完治します。一〜二週間たっても治らない口内炎や潰瘍があったり、舌や口の中の粘膜など、本来柔らかい部分に硬いしこりがある場合は要注意。歯科や耳鼻咽喉科の受診を勧めます。また、歯科医院での定期検診時に診てもらうことも早期発見に有効でしょう。
治療法は、手術が主体となります。放射線療法や抗がん剤による化学療法を併用する場合もあります。
もし、進行がんの段階で発見されたとしても、がん治療の進歩に伴い、治療成績は向上しています。
手術後の口の機能回復も、形成外科やインプラント(人工歯根)を併用した特殊な入れ歯で改善されてきています。
2月8日に無料検診
横浜市歯科医師会では2月8日、横浜市歯科保健総合センター(横浜市中区相生町)で、口腔外科専門医による「無料口腔がん検診」を行う。先着50人、電話予約制。問い合わせ・申し込みは歯科医師会事務局рO45(681)1553へ。 <次回は、2月20日に掲載>
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