ロゴマーク 横浜歯科医師会
横浜市民のみなさんへ 横浜市歯科保健医療センター 休日・夜間救急歯科診療 歯科医院一覧 横浜市歯科医師会とは 各区の活動 関連リンク 会員ページ
口の健康 体の健康 -19- 口腔がん 新しい診断装置に期待

神奈川新聞 平成18年10月30日 掲載 歯科コラム
 
 口腔がんは内臓のがんと違って、直接目に見える場所なので比較的簡単に組織検査ができ、一般的に診断が早くつきます。組織検査は局所麻酔を行い、口腔がんを疑う部位からわずかな組織を採取し、約十分程度で終わります。その後一週間程度で病理的にがんかどうかの診断がつきます。
 口腔がんと診断された場合、次に大切なことは、がんはリンパ節や離れた臓器に転移(遠隔転移)するので、それらの検査が必要となります。口腔がんの場合リンパ節転移は首のリンパ節で、遠隔転移は肺が主です。
 これらの従来の検査はCTやMRI(磁気共鳴画像装置)検査などの画像診断が中心でしたが、最近ではPET(陽電子放射断層撮影)といった新しい診断装置が導入されてきています。
 がん細胞もブドウ糖をエネルギー源としており、正常な細胞と比べて約三~八倍のブドウ糖を消費する性質(糖代謝)があります。PET検査はその性質を利用してがんを見つけ出します。方法は検査前四~六時間は絶食し、検査薬(ガンマ線を放出するブドウ糖に似た薬剤)を静脈へ注射します。
 体内に薬剤が広がるまで待つと、がんのように糖代謝が盛んなところに検査薬が集積するので、検出されたガンマ線を画像化します。痛みは検査薬の注射のみで、患者さんの苦痛はありません。
 今までのCTやMRIなどの検査は、がんの大きさ(十ミリ以上)や形で判断していましたが、PETでは形や大きさが分かるだけでなく、がんの糖代謝を基に、がんの活動の様子を視覚的にとらえて発見することもできます。口腔がんのリンパ節転移や遠隔転移などCTやMRIで発見しづらい場合や、腫瘍が良性か悪性かを診断するのにとても有効です。
 さらにこのPETとCTを融合したPET/CTだとがんの発見率は従来の約十倍も高くなるともいわれ、大きな診断の武器となり、これからますますこの診断装置の活躍が期待されています。
 現在口腔がん診断においては、CT、MRIなどにより転移の診断が確定できない方に対しては保険適用となっており、県では横浜市立大付属病院などにこの装置が設置されています。(横浜市立大学医学部教授・東内 祝)
<お知らせ>  横浜市歯科医師会では11月15日、無料口腔がん検診を行います。問い合わせは同事務局℡045(681)1553
<隔週掲載>
copyright (C)Yokohama Dental Association All Rights Reserved.