神奈川新聞 平成18年4月3日 掲載 歯科コラム
老後の人生が少しでも長く健やかであれば、どんなにか幸せなことでしょう。仮に支援や介護が必要なくなったとしても、自立の度合いが少しでも高い方が、より幸せに感じるはずです。充実した毎日を過ごすために「口腔ケア」は大いに貢献するものだと思います。
二回にわたり、自宅で行う「口腔清掃の手順」「口臭予防」「口の機能向上訓練」について、実際に行えるよう説明していきます。要介護一歩手前の方は要介護にならないように、要介護の方は介護度が進まないようにしっかり行ってください。
今回は「口の中の清掃法です」。高齢者では、すべての歯が残っている方はほとんどいません。数本の自分の歯と部分入れ歯、という方が大多数を占めます。
このような状況では、口の清掃が極端に難しくなり、歯ブラシだけではうまく磨けません。本人はもちろん、介護する家族が「口の中の清掃法」を行えるように説明します。
手順ですが、まず、入れ歯を外し、うがいをします。食べものが残っているときは、指やスポンジブラシ(ブラシの部分がスポンジ状になっている)でかき出してください。
次に歯ブラシで歯の清掃をします。高齢者は歯茎が下がり、歯の間も広いので、表面だけではなく歯と歯の間も歯間ブラシという専用の道具を使って丁寧に磨いてください。
大事なのは時間をかけてしっかり磨くことで、歯磨き粉はつけてもつけなくてもかまいません。
舌と入れ歯が触れる歯茎の清掃もします。歯ブラシやスポンジブラシで優しくこすってください。続いて、洗口剤でうがいをします。ぬるいお茶でもいいでしょう。
最後に、入れ歯の清掃をします。就寝中は外し、洗浄剤に漬けておいた方が細菌の繁殖を防げます。
口の清掃は食後三十分以内を心がけましょう。
次回は「口臭の予防法」と「口の機能向上訓練」について説明します。 <隔週掲載>
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